
千葉邦楽合奏団第9回定期演奏会を迎えて
千葉邦楽合奏団代表 坂田 誠山
本日はお忙しいところ千葉邦楽合奏団の定期演奏会にご来場くださいまし て、誠にありがとうございます。
千葉邦楽合奏団は「邦楽って楽しいの?」「もちろん!」をモットーに活動を始め、結成以来早10年目を迎えました。毎回新しい曲を創造しながらの演奏会が、邦楽の大衆化に小さな力ではありますが、それなりの貢献をしているのではとこのところ感じております。邦楽界に常に新しい息吹を吹き込んでいるのではとの思いが、長く活動を続けられる持続のエネルギーを生み出しているのではないかと感じております。
今年は邦楽界に於いてターニングポイントとなるような出来事がいくつかありました。その一つは、私が代表を務めているプロの演奏集団「オーラJ」(邦楽器のアンサンブルグループ)が昨年このぱるるホールで公演した、邦楽器による伝説舞台「羽衣」が文化庁の「本物の舞台芸術を体験する事業」に邦楽のグループとして初めて登用され、今年の11月から全国的な規模で公演することになりました。又一つは、山梨県北杜市に於いて開催された北杜国際音楽祭で全国邦楽合奏団コンベンションがオーラJの主催で開催し、千葉邦楽合奏団と姉妹合奏団東京邦楽合奏団が中心的な存在で参加して頂きました。このコンベンションは今年初めて開かれた催し物で、これに参加した他の団体も一様にこの意義付けを高く評価し、今後に向けての明るい兆しが伺えるコンベンションとなりました。千葉邦楽合奏団及び東京邦楽合奏団の演奏した曲も高い評価を得て、参加した団員一同大きな喜びを感じながら充実した一時を体験して頂いたのではと主催者としても大きな喜びを感じているところでもあります。
これら邦楽器アンサンブルが評価を得て文化庁に登用されたり、邦楽合奏団が全国的な規模で一同に介し力を結集し、お互いに刺激し合って切磋琢磨できる環境が整う事は、力が弱かった邦楽界の力を結集することによって、世間へのアピールの力を高めることが出来ます。市民権を得る時が漸く近づいているのではと思わせてくれます。
さて、今年は第9回目のコンサートとなります。いよいよ次回が千葉邦楽合奏団が10回目、東京邦楽合奏団が再来年が第5回目を迎えます。千葉邦楽合奏団の次回を来年はお休みし、東京が5回目となる再来年に10回目、節目の演奏会として2000人規模の大ホールでのコンサートを予定しております。そのプレコンサート的な要素も組み入れながら計画いたしております。この好展開を他にも増やし、益々効果を上げるべく東京邦楽合奏団が生まれました。他の県にも同じポリシーをかかげて活動する合奏団を創ろうと働きかけております。千葉邦楽合奏団の第10回の定演ではこれらが合同で大きな演奏会を開催すべく準備を重ねております。今後ともどうぞ皆様の暖かいご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げ ます。
花 信 桜井ゆかり作曲
尺 八:奥村 鋒山・須藤 哲雄・正道 E山・毛利 笙山・萩原 蘊山
伊藤 凌山・功刀 幾山・出沼 智山・村石 遥山・図子 佳山
大場 敬三・水落 公尹・遠藤 山
三味線:中村 幸子・大徳 良子・大宮 椎子・神山さよ子・稲越久邇子
箏 :新村 雅織・大塚真知子・鹿島 綾子・中島 純子・岡部 節子・石井由希子
花信と言うのは、桜の花の咲きぐあいの知らせです。こんな時期は、桜の花がいつ満開になるのかがとっても楽しみで、またセーターが必要な寒さが残っていても、春がいっきに訪れたような気分になります。そんなうきうきとはずんだ心を曲にしてみました。
この曲は1つの主題が尺八、三絃、箏で絶え間なく、まるでぐるぐる回るメリーゴーランドのように出てきます。
(桜井ゆかり記)
秋の曲 三木稔作曲
秋を想いながらではあったが、音楽の領域を踏み外すことのないよう心がけて書いた。つまり、哀しくも美しいこの第三の季節に触発されて生れる音を整理し、秩序立てることが私の仕事であった。おどろおどろしい尺八の表現力に溺れず、また、私自身あらゆる角度で追求してきた二十絃箏の技法も、一部に限定することにより、描写や感覚への深入りにストイックに対した。全体で十三分程の曲だが、二章に分れ、〈序章〉は二つの楽器の対話で進められるパルランドルバート主部にあたる〈秋のファンタジー〉はテンポが早くなり、両楽器に下隆音型が特徴的に現れるテンポギュストの主部の間に、やや雅びを尊ぶゆるやかな部分がはさまれている。私にとって、尺八と箏のオリジナルなduetは初めてである。三木稔記◆
篝火 牧野由多可作曲
指 揮:坂田 誠山
尺 八1:須藤 哲雄・西城 薫子・奥村 鋒山・富田 翰山・正道 E山・須江 宸山
毛利 笙山・黒武者翔山・出沼 智山・図子 佳山・水落 公尹
尺 八2:萩原 蘊山・森 佳久山・伊藤 凌山・森田 天山・功刀 幾山・中野 兆山
大場 敬三・安田疏詠山・村石 遥山・千島舟静山・遠藤 山・鈴木 故山
箏 1:樹本佳音里・山口喜久子・鹿島 綾子・渡辺 澄子
箏 2:新村 雅織・生村 伸子・大塚真知子・宮田美智子
箏 3:菅井 愛・中島 純子・中島 早依・岡部 節子・観野佐江子
箏 4:中村 幸子・内野 典子・大徳 良子・吉田 麗子・稲越久邇子
十七絃箏:岡田喜代子・大宮 椎子・石井由希子・神山さよ子・奥田恵美子
果てしなく続く杉木立の中 篝火が一つ燃えている 太古そのままに・・・・・
やがて風が起こり 大きな炎が波となって もえ上がる餐げのひととき 歓喜の叫び
恐れと躍動の刹那 全ては隆起し 幻覚の魔睡が きらめく古へのどよめきをもたらす
寂寞がしのび寄り 木々の深い吐息と小さな風 霧と影のささやき
暗い杉木立の中に篝火が一つ 燃えている
この作品は1966年、東京邦楽演奏会より委嘱を受けて作曲したもので、同年12月8日虎ノ門ホールにて初演された。尺八の持つ神秘的な奥深い響きと、箏の鋭さ、動きの早さ、とを対照させた一楽章形式の幻想的詩曲で、此の時期の「茉莉花」や「琉球民謡による組曲」などとともに演奏頻度の高いものの一つである。
生誕250年記念
<モーツァルト編曲集> 石井由希子作曲
指 揮:坂田 誠山
尺 八1:須藤 哲雄・奥村 鋒山・正道 E山・毛利 笙山・出沼 智山・図子 佳山・水落 公尹
尺 八2:萩原 蘊山・伊藤 凌山・功刀 幾山・大場 敬三・村石 遥山
遠藤 山
箏 1:樹本佳音里・新村 雅織・大塚真知子・鹿島 綾子
箏 2:中島 純子・中村 幸子・大徳 良子・岡部 節子・稲越久邇子
十七絃箏:大宮 椎子・石井由希子・神山さよ子
今年はモーツアルト生誕250年☆ということで邦楽器でモーツアルトに挑戦です♪
一度はどこかで聴いたことのあるような名曲を5曲、メドレーでお贈り致します。
アイネ・クライネ・ナハトムジーク〜メヌエット〜トルコ行進曲〜
ピアノ協奏 曲第21番〜交響曲第40番
息吹 坂田誠山作曲
伝統と革新の精神が息づく邦楽界、伝統的な技法を使いながら新しい息吹を感じさせる曲を書こうとこのタイトルを付けた。
曲は人間の持つ感情、喜・怒・哀・楽をテーマにそれぞれの感情から触発される音を綴りながら曲は進行する。4つのテーマはそれぞれ独立して現れるのではなく、折り重なるように展開され、部分的には即興的な要素も加えながら曲を終えている。
詩吟と邦楽合奏による<雪月花> 石井由希子作曲
指 揮:坂田 誠山
吟 詠:奥村 吼博
尺 八1:須藤 哲雄・正道 E山・毛利 笙山・出沼 智山・図子 佳山・水落 公尹
尺 八2:萩原 蘊山・伊藤 凌山・功刀 幾山・大場 敬三・村石 遥山
遠藤 山
箏 1:樹本佳音里・新村 雅織・大塚真知子・鹿島 綾子
箏 2:中島 純子・中村 幸子・大徳 良子・岡部 節子・稲越久邇子
十七絃箏:大宮 椎子・石井由希子・神山さよ子
毎年、定期演奏会後の打ち上げパーティーでは、奥村先生の詩吟を聴かせて頂 くのが恒例となっていましたが、今回いよいよ本番で(打ち上げではな く!?)詩吟と邦楽器群との共演が実現することになりました。
作曲するにあたり、まず奥村先生に3つの詩を選んでいただき(下記参照)、 無伴奏で吟じていただいたものを録音し、それを聴きながら音を綴る、という作業となりました。拍子のない詩吟と合奏群をどのように絡ませたらよいものか、とまどいつつ、詩の持つイメージを膨らませながら作曲しました。結果的にどうしても制約の多い中で吟じて頂くことになってしまいましたが、とても前向きな姿勢で表現してくださる奥村先生に心より感謝申し上げます。詩吟と邦楽器群がお互いの良さを引き出し合い、新しい世界が生まれることを願いつ つ。
〜雪の章〜「江雪」 柳 宗元
千山 鳥飛び 絶え 萬径 人しょう 滅す
孤舟 さりゅう 翁 独り釣る 寒江の 雪
〜月の章〜「静夜思」 李白
しょう前 月光を 看る 疑うらくは 是れ 地上の霜かと
頭を 挙げては 山月を望み 頭を 低れては 故郷を思う
〜花の章〜「寒梅」 新島
庭上の 一 寒梅 笑って 風雪を 侵して 開く
争わず 又 力めず 自ずから 百花の 魁を 占む
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