
本日はお忙しいところ千葉邦楽合奏団第一回演奏会にご来場くださいまして、誠にありがとうございます。
千葉邦楽合奏団は昨年ドルチェホールが落成したのを機に発足し、結成から一年を経過しここに第1回目のコンサート迎えることが出来ました。最初はほとんどの団員が今回取り上げる様な曲は初めてなので、戸惑いながらの練習でしたが、回数を重ねる毎に音楽的にも高まってまいりました。お互いの気心も知れてきて、最近の練習は本当に充実した時間を過ごせるようになってきました。
「邦楽って楽しいの?」「もちろん!」 とにかく楽しい合奏を味わってほしい。邦楽器でこんなことが出来るんだ。我々の演奏を一人でも多くの方々に聴いていただきたい。そして新しい邦楽のファンを少しでも増やしていきたい。存在感のあるグループに育っていきたいと思っております。
邦楽は今、停滞気味です。この現状を何とかしたいと常々考えております。私個人は邦楽器の集団である「日本音楽集団」に関わり(現在はオーケストラ・アジアに移籍し、新たな音楽活動を展開しております)、現代の作品を中心にした音楽現場に長く携わってきました。今まで日本音楽集団のコンサートを含めいろんな演奏会に出演して感じることは、今を反映した曲こそがその時代の要求なのでしょう。一般の聴衆の方々の反応はそれを充分に物語っているように思えます。このような音楽現場は、演奏家にとっても、聴衆にとっても本当に音楽の歓びを味わえるものでした。こんな楽しい時を千葉邦楽合奏団も提供出来るように努力し、聴衆の皆様と素晴らしい時が共有出来たらと願っています。
しかし、我々のようなグループが取り上げられる作品は余り多くありません。このような現状で団体を持続するにはそれなりのエネルギーが必要ですが、幸い団内に作曲者もおりますし、又、私の回りにこのような活動に好意的な作曲者が大勢います。その時代を反映した作品を常に残していくことが、邦楽界の発展にも繋がるものと思っておりますので、いろんな作曲者の協力を得ながら、新しい作品を積極的にどんどん増やしていきたいと思っております。
又、邦楽界の将来を思うとき、子供達に邦楽に興味を持ってもらう事も大切な要素の一つです。今回のコンサートに学校関係者及び在校生をご招待しましたのも、こんな気持ちの表れです。現在の教育現場での邦楽鑑賞の時間は余りにも少ないと感じています。しかし今の教育環境に於いてはいたしかたのない状況にありますので、学校公演(ボランティアで)等も積極的に行おうと思っております。
未だ結成して1年、今後の活動がどのように展開していくか解りませんが、様々な思いを込めて積極的に邁進していきたいと思っております。
どうか皆様の温かいご支援、ご鞭撻の程、よろしくお願い申しあげます。

1.比婆の夜祭り 坂田誠山作曲
指 揮:坂田 誠山
尺八1:田中 寒山・奥村 峰山・森 佳久山・伊藤 凌山・林 冠山・功刀 幾山
出沼 智山・石神 政春
尺八2:正道 示古山・須藤 哲雄・明間 原山・大門 胤山・毛利 笙山
中野 松夫・大場 敬三・水落 公尹
箏 1:中島 純子・中村 幸子・大徳 良子・吉岡 芳子・岡部 節子・杉山太佳子
箏 2:新村 雅織・藤野久美子・諏訪千世香・大宮 椎子・林田瑠美子
17絃箏:谷田 幸子・石井由希子
この曲は、平成8年の広島国体長刀会場となった広島県比婆郡西城町の依頼により、開会式における選手入場の為の行進曲として作曲したものを、後に改作したものです。
曲は、尺八四重奏曲「思郷の詩」のテーマを使用し、皆が楽しく祭りに参加している様と比婆郡西城町の比婆山に出現したと全国的に話題となった怪物「比婆ゴン」の行進をイメージして作曲いたしました。
最初と最後の速いテンポの部分は、祭りに参加してワッショイ、ワッショイと騒ぎながら楽しんでいる様を、又中間部のゆっくりした部分は、疲れて一休みしながら、様々な思いに浸っている様を表わしています。
2.箱根八里・おてもやん 坂田誠山編曲
指 揮:坂田 誠山
尺八1:田中 寒山・正道 示古山・須藤 哲雄・伊藤 凌山・林 冠山
尺八2:森 佳久山・出沼 智山・大場 敬三・水落 公尹
尺八3:明間 原山・毛利 笙山・功刀 幾山・石神 政春
尺八4:大門 胤山・奥村 峰山・中野 松夫
この曲は神奈川県民謡「箱根八里」と熊本県民謡「おてもやん」を尺八四重奏に編曲したものです。第1尺八が主旋律を常に奏で、第2、3、4尺八が伴奏を受け持っています。
尺八の奏法としてのスタッカートは、伝統的には余り使わないので、慣れないと切れが悪いのですが、この曲ではスタッカートを多用しており、レガート(なめらか)な部分との対比を際立たせています。
3.碧浪の譜 石井由希子作曲
尺 八:坂田 誠山 箏:平野 暁子
どこまでも 碧くきらめく海
波間にたゆたう風は 私の頬を撫でていく
あおく彩られた鳥たち その美しき鳴き声
荒磯に打ち寄せるさざなみが 碧浪の舞を奏でる
この曲は1992年に東京尺八合奏団の委嘱により作曲し、第十回定期演奏会で尺八:坂田誠山・箏:横山裕子両氏により初演されました。
碧浪とは「青緑に澄んださざなみ」という意味です。曲は波をイメージした箏の独奏に始まり、やがて尺八と箏による主題が提示され、それを拡大、展開していきます。中間部では穏やかな尺八と箏の対話に続き、繊細かつ力強いカデンツァが現れます。その後、最初の主題の変奏が再現され、終結部では双方の楽器が競い合い最高潮に達し曲を終えています。
尚、この曲は1992年の第三回「箏・創作フェアー」作曲コンクールにて最優秀賞・朝日新聞社賞を受賞いたしました。
4.大河へ 石井由希子作曲
指 揮:坂田 誠山
尺八1:正道 示古山・田中 寒山・大門 胤山・須藤 哲雄・奥村 峰山・林 冠山
出沼 智山・石神 政春
尺八2:森 佳久山・明間 原山・毛利 笙山・伊藤 凌山・功刀 幾山・中野 松夫
大場 敬三・水落 公尹
箏 1:新村 雅織・藤野久美子・諏訪千世香・大宮 椎子・林田瑠美子・杉山太佳子
箏 2:中島 純子・中村 幸子・大徳 良子・吉岡 芳子・岡部 節子・内田まどか
17絃箏:谷田 幸子・岩澤由美子・石井由希子
1998年第1回千葉邦楽合奏団定期演奏会のための同団による委嘱作品。合奏団設立から1年、第1回目の練習時には数名だった団員数も、今では30数名になり、毎回練習時にはドルチェホールが熱気に満ちています。何かと閉鎖的になりがちな邦楽の世界を打ち破り、日本の伝統文化である邦楽を守るだけではなく、現代に飛翔させたいという願いを込めて作曲しました。
曲は「清き流れ」に始まり、「おだやかな流れ」「水と戯れて」「月に輝いて」「激流」「流されて」と経過して最後に「大河へ」で曲を終えています。
「流されずに、流れていきたい」(宮原芽映詩集より)、千葉邦楽合奏団もある意志を持って積極的に大河へ向けて漕ぎだして行きたいと思っています。
5.プリズム・ファンタジー 石井由希子作曲
指 揮:坂田 誠山
箏 1:平野 暁子・中島 純子・中村 幸子・大徳 良子・吉岡 芳子・岡部 節子
内田まどか
箏 2:新村 雅織・藤野久美子・諏訪千世香・大宮 椎子・林田瑠美子・杉山太佳子
17絃箏:谷田 幸子・岩澤由美子・石井由希子
この曲は、1995年「箏三昧」の委嘱により作曲しました。動物をテーマとしたなじみ深い名曲をメドレーで綴り、箏T・U、十七絃箏の三重奏用に編曲したものです。もともとは洋楽器のために書かれた曲も邦楽器で演奏すると、またひと味違ったニュアンスが広がっていきます。(「やっぱり、この曲は大オーケストラで聴きたいなー!」「いやいやお箏も捨てたもんじゃーないと思うよ」「そーお?!」なんて声が聞こえてきそうですが‥‥。)さてさてどーなりますことやら。どうぞ、動物達のパレードをお気軽にお楽しみ下さい。
」日本尺八連盟尺八コンクール1位入賞者を迎えて」
6.春 愁 石井由希子作曲
指 揮:坂田 誠山
尺八1:大門 胤山・森 佳久山 尺八2:田中 寒山・毛利 笙山
尺八3:明間 原山・須藤 哲雄 尺八4:奥村 峰山・中野 松夫
春浅き一日
竹林を行く
ほほを撫でる風が
さまざまな思いを
はこぶ‥‥‥‥‥
この曲は1991年、東京尺八合奏団の委嘱により作曲された作品です。
日本尺八連盟尺八コンクール1位入賞者
大門 胤山〈東京〉(昭和61年1位入賞) 明間 原山〈新潟〉(平成2年1位入賞)
奥村 峰山〈千葉〉(平成5年1位入賞) 田中 寒山〈秋田〉(平成7年1位入賞)
7.いざない 石井由希子作曲
指揮・独奏尺八:坂田 誠山
独奏箏:野田 美香
尺八1:奥村 峰山・正道 示古山・毛利 笙山・中野 松夫・水落 公尹・石神 政春
尺八2:須藤 哲雄・森 佳久山・伊藤 凌山・功刀 幾山・林 冠山・出沼 智山
大場 敬三
箏 1:新村 雅織・藤野久美子・諏訪千世香・大宮 椎子・杉山太佳子
箏 2:中村 幸子・大徳 良子・吉岡 芳子・岡部 節子・中島 純子
17絃箏:谷田 幸子・岩澤由美子・石井由希子
この曲は1993年、東京尺八合奏団の委嘱で作曲した作品です。
「いざない」とは、「誘い」の意の雅語的表現です。
曲は大きく分けて、序・急・緩・急の四つの部分から成り立っています。緩の部分に誘う尺八のカデンツァ、急の部分に誘う箏のカデンツァではソリストのすばらしさを、終焉へと高揚してゆく終結部ではアンサンブルの妙味を味わって頂ければ幸です。
私にとってこの曲は四曲目の邦楽作品ですが、和楽器にふれればふれるほど奥の深さを痛感し、独特の雰囲気に魅せられてまいりました。和楽器の持つ魅惑的な世界に、皆様をいざなうことができれば……との思いから、この題名をつけました。

坂田誠山<指揮・尺八>
神野生山・人間国宝島原帆山両氏に尺八を師事。NHK邦楽技能者育成会12期卒。1969年ブルガリアに於ける世界民族音楽コンクールにおいて銅賞受賞。
海外公演はのべ百数十ケ国に及び、国内でも読売日本交響楽団等オーケストラとの共演や、サントリーホールでチェリストのヨーヨー・マと共演する等、伝統楽器のみならず洋楽器との共演も数多く、ソロリサイタルや、各地でのコンサート、TV、ラジオ、レコーディング等幅広く演奏活動を行っている。
最近では作曲・編曲も手掛け、又昨年自宅に100人程度収容出来るホール(ドルチェホール)を作り、定期的に年間10回の音楽会をプロデュースする等、様々な分野で精力的な音楽活動を続けている。
現在、オーケストラアジア所属(ジャパンアンサンブル代表) 千葉邦楽合奏団/東京尺八合奏団主宰
石井由希子<作曲>
千葉県出身。幼時期よりピアノ、作曲、箏曲を学ぶ。
1990年 武蔵野音楽大学作曲学科卒業。作曲を牛腸征司、和声を三上次郎、指揮法を甲斐正雄に師事。
1992年 第3回「箏・創作フェアー」作曲コンクールにて最優秀賞・朝日新聞社賞受賞
1995年 「世界ホルンフェスティバル in やまがた」ファンファーレ募集において第1 位特選を受賞。
現在、日本音楽著作権協会会員、日本作曲家協議会会員。
主な邦楽作品
○尺八四重奏曲「春愁」○尺八・箏二重奏曲「碧浪の譜」○尺八・箏コンチェルト「いざない」
○尺八・箏合奏曲「祝典序曲」○二十絃箏独奏曲「夕凪」 ○二十絃箏独奏曲「夢のしずく」
○二十五絃箏独奏曲 組曲「潮音」 ○浦の舟歌 ○「風雅」ー尺八協奏曲ー ○「水浅葱」等多数
野田美香<箏・客演>
6才6月6日より箏をはじめる
東京芸術大学音楽学部邦楽科卒業、同大学院音楽研究科修士課程終了
宮城会コンクール入賞、NHK邦楽オーティション合格
現在、彩音・箏座のメンパーとして、ステージ、レコーディング等の演奏漬動、及び教授活動を行っている。また、伶楽舎(雅楽の演奏団体)では、楽箏の奏者として、雅楽古典曲、吉典廃絶曲の復曲、現伏作品の演奏を行なっている。国立劇場音楽公演の他、タングルウッド音楽祭やリンカーンセンターフェスティバルなど海外でも活躍している。
平野暁子<箏・客演>
幼少の頃より、母〈平野泰子〉に手ほどきを受ける。その後、藤田節子、佐野奈三江の各氏に師事。
1988年 東京芸大邦楽科に入学。
在学中に、芸大使節団として「ASEAN UNIVERSITIES FOLK ARTS FESTVAL 1990」 (於マレーシア)に参加。ハワイ大学ケネディシアターにて「KOTO CONCERT」に出演。 皇居 桃華楽堂にて御前演奏。
1992年 同大学卒業
1994年 NHK邦楽技能者育成会40期卒業。NHK邦楽オーディション合格。
1996年 千葉市文化使節団としてスイスにて公演
1997年 ジャズピアニスト 大原保人氏とジョイントコンサートを開く
現在、宮城会師範、森の会会員、Group 鸞<大学同期生3人による> 和洋大学非常勤講師
千葉市稲毛の自宅で箏教室を開いている。
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